BONNOU THEATER

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北陸唯一のポルノ映画館「駅前シネマ」最終日に潜入した話 前編

前回の記事から1年弱経ってしまった。

プライベートでドタバタな日々を過ごしていたため、ブログを書く方にエネルギーを注ぐことができなかった。

少し落ち着いてきたので、ぼちぼちブログの方も適当に再開していこうと思っています。

 

さて、今回は北陸唯一の成人映画館「駅前シネマ」が閉館するということで、今まで(いろんな噂があったため)足を運ぶことを躊躇っていたが、潜入してきたレポートを「余すことなく」「ありのまま」書き綴りたい。写真は最近ハマっている「写ルンです」を使った。加工なし。

駅前シネマについて知らない方はウィキをどうぞ。非常に詳しく歴史がまとめられている。

ja.wikipedia.org駅前シネマは北陸唯一のポルノ映画館であるとともに、そして、女装した方々の楽園であり、「ハッテン場」としても有名なのだ。ネットで検索してもなかなかスリリングなレポートが書かれていたり、巷では「襲われる」などということも囁かれていた(昔ツイッターで「駅前シネマ興味ある」的なことをつぶやいたらなんか会話が成り立たないやべー奴に絡まれて肝を冷やした経験もある)。

itoukenzi.com

金沢に友達がまったくいない身としては、一人で潜入するのはなかなかハードルが高く、勇気が出ずにいた。まあタイミングがあればいつか…とずっと思っていた。

 

そんな中、事の発端はフォロワーさんのこのツイートを職場で見かけたことからはじまった。 

即座に職場にあった新聞を確認し、悲しくなった。館長がもう肉体的に限界なのと、新型コロナウイルスの影響だそう。

実は、私が金沢に住み始めて3年か4年たった頃、結婚して引っ越すことになり、いろんな物件を物色していたことがあった。いろんな条件を満たす物件の中に、金沢駅前にあるライオンズマンションがあった。そのマンションのエントランスの真正面が駅前シネマで、「ここに住んだら最高なのでは?」と思い、内見までして、「駅近でめちゃくちゃ利便性が高い」という触れ込みで妻にアピールした。最初は妻も乗り気だったが、途中で正面が駅前シネマということがバレ、おじゃんになった思い出がある。

ちなみにここ

【ホームズ】ライオンズマンション金沢此花町第2の建物情報|石川県金沢市此花町1-43

新聞記事によると駅前シネマは3月いっぱいで休館するとのこと。子どもが生まれて映画館に行く時間も無くなり、見る本数も激減してしまったが、これは何としてもいかなければいけない…!しかし、このコロナ禍である。もし駅前シネマに行ってコロナウイルスをもらって帰ってしまったら…。発症して足跡を辿られ、「駅前シネマで感染した」ということが職場諸々プライベートで公になってしまったら…それを子どもに移してしまったら…。最悪のシナリオが頭をよぎる。それでも、危険を冒してでも、歴史の証人にならなければ!そんなことを考え、何日間か通おうと思っていたが、最終日、最終上映(3月31日18:00〜)にだけ潜入することにした。

 

家から駅前シネマは自転車で10分の距離である。近くに自転車を止め、駅前シネマに向かっていると、曲がり角からSUVが現れた。運転席に座っていたのは、男性のようなお姉さまのような男性(女装)だった。。。そして、駅前シネマに到着した。

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別院通り付近の看板

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夕方の駅前シネマ

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ラスト上映ラインナップ

意を決して中に入った。駅前シネマは券売機でチケットを購入する方式である。最終日は「感謝ディ」と銘打って一律1000円での上映だった。券売機でチケットを買って受付の大学生に渡すが、こちらのことを全く見ず、半券も戻ってこなかった。券売機の向こう側にはロビーのようなものがある。覗いてみると女装された方々(以後:淑女)がプカプカ煙草をふかしながら談笑している。壁際にしゃがんだ淑女の前に別の淑女が煙草を咥えながら立ち、お尻を押し付け、揉まれている。「そんなに押すと出ちゃう♡」みたいな謎の会話も聞こえてきた。

こういう場所には必ず「ルール」がある。常連たちが作り上げてきた「ルール」に沿った行動が求められる。そのため、新しい場所に行くときはそれなりのリサーチをして行くが、今回ばかりは何の情報もない。まったく「ルール」がわからない。映画が始まるまであと10分。劇場内に向かうにはこの淑女の方々の横を通り過ぎて扉を開けなければならない。まだ上映前だが入っていいのか?この淑女の方々がロビーで談笑しているのは中に入れないからなのか??それとも、映画が始まる前にトイレにでも行っておくか…?しかし、先日駅前シネマ特集が組まれていたアクタス4月号にはこのような記述もあった。

 さて、小便器を使うと入り口側に背を向けなければならない。めったのことはなかろうが、ここは大事をとって個室に入るか。

 当然のごとく和式便器だが、まあいい。身をかがめると、眼前の壁に穴が。えっ、何これ?腰の高さほどの位置に開いた直径7~8センチの穴は隣の個室とつながっている。いったい何のために?想像が膨らみすぎて用を足すどころではなくなり、トイレを飛び出した。

 見回りに来た藤岡支配人を見つけ、トイレに穴があいてますと訴えると、「ふさいでもふさいでも穴が開くんや」と苦笑いしている。(北國新聞社『月間北國アクタス』2020年、4月号、p.15)

book.hokkoku.co.jp

ロビーとは反対側にあるトイレに向かう廊下を眺めてみても、そこにも灰皿があり、数名の淑女が談笑している。この記事を読んだあとではなかなか厳しいものがある。

この場での正しい振舞いがわからず、ただ佇んでいると逆に目立ってしまう。淑女の方々と目が合う。どうしたらいいのかわからずそのまま突っ立っていると、その中の一人が突然声をかけてきた。

淑女「あ!〇〇ちゃん?」

私「え?」

まさかいきなり正面きって話しかけられるとは思ってもいなかったので、面食らってしまった。淑女は隣にいたもう一人の淑女に確認をとりながら、もう一度私に聞いてきた。

淑女「ねえねえ〇〇ちゃんだよね?」

誰なんだ。あまりよく聞き取れなかったが、かわいらしい響きの女性の名前を呼んでいた。

私「あ、いや。全然違います」

どういう感情で返答すればいいのかわからずかなりぶっきらぼうな返事をしてしまった。

淑女「あら、ごめんなさい。女装ちゃんと間違えちゃった!」

私はよく誰かに間違えられることがあるのだが、女装家と間違えられたのは人生で初めての出来事だった。呆気に取られていたが、「ルール」を確認するならこのタイミングしかない!

私「あ、この中(劇場内)って入っていいんですかね?」

淑女「どうぞ(はーと)」

今になってみれば、なぜこの人に聞いてしまったのか、そしてなぜこの人が我が物顔で答えたのか全く分からないが、少し安心して私は場内への扉を開けた。

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劇場内(これだけ暗かったのでiPhoneで撮影)

そして衝撃の光景を目の当たりにすることになる。

 

つづく。

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北陸唯一のポルノ映画館「駅前シネマ」最終日に潜入した話 後編 - BONNOU THEATER