BONNOU THEATER

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カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポートその2(5月1日)

前回(カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポート(4月30日) - BONNOU THEATER)に引き続き、今回は5月1日のレポート。

 

4月30日は全て見終わったあと、「ファッキャ」ことファーストキャビンで夜を過ごし(ファーストキャビンに宿泊してみたら墓守になった~カナザワ映画祭2019番外編~ - BONNOU THEATER)気付けば1人寂しく新たな時代「令和」を迎えていた。「平成」の最後は『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』で終えることができた。

「令和」一発目は…。

 

『暴れん坊村長』

f:id:jzzzn:20190508214219j:image(原題:TRAPPED)

こちらは、2016年のカナザワ映画祭の田舎ホラーオールナイトでも上映された(田舎ホラー大全科第二集 - カナザワ映画祭2016|かなざわ映画の会)。この時も深夜に関わらず場内は大盛り上がりだった。本当は前にも見ているため、今回は見逃す予定だったが、キャンセルが出たとのことでギリギリになって急遽追加購入したのだ。

さて、内容は、よくいる何も考えていなそうな大学生たちがわざわざ田舎に遊びに行き、キチガイ村長に襲われるというシンプルかつ激アツな内容だ。この村長、かなりのキチガイで、外で女とおっぱじめようとしていたら、それを見ていた餓鬼を見つけては早速殺しにかかろうと山中を駆けずり回る。村長を怒らせた奴にはコールタールぶっかけの刑!!!f:id:jzzzn:20190508215120p:image仲間の大学生も次々に殺害!警察は無能!地下では密造酒の大量生産!法なんてどこにも届かない!最後は大爆発!f:id:jzzzn:20190508215223p:imageお決まりすぎる展開に思わず感嘆の声が漏れる。そして締めは謎にシリアスな終わり方。

ヘンリー・シルヴァの映画は本当にハズレがない…。令和一発目になんて縁起のいいものを観れたんだ…。

 『野蛮で素敵な田舎白人』

f:id:jzzzn:20190508221519p:imageこれは今回一番楽しみにしていた作品。ウエストヴァージニア州ブーン郡に住む家族のドキュメンタリー。この家族、何でもあり。しかも家族もめちゃくちゃ多い。母親の誕生日パーティーに集まって、母親そっちのけで大麻パーティーをしたり、ライブハウスのトイレでコカインを吸ったり、服役中の息子がいたりとまさしく犯罪一家。ピエール瀧がコカイン吸っていた!?そんなのがとんでもなく小さく見えてしまう。f:id:jzzzn:20190508221733p:imagef:id:jzzzn:20190508221738p:imagef:id:jzzzn:20190508221744p:imageただこの人たち、めちゃくちゃ楽しそう。今を全力で生きてる感がすごい。しかし、後半は生まれた赤ん坊を行政に引き取られてしまい、薬物から足を洗おうとする家族の姿も見えたり、割とハートウォーミングな作りになっていた。与えられた環境から抜け出すってなかなかできることじゃないよなあ。気になるのはこの家族、全員顔がめちゃくちゃシワシワ。やはり薬物の影響はこういうところに出るのだろうか…?

 

『映画の生体解剖〜山の狂気、森の妖精、辺境の暴力〜』稲生平太郎×高橋洋×小野寺生哉

f:id:jzzzn:20190508223455j:imageカナザワ映画祭名物『映画の生体解剖』。

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

 

こちらはもうプレミア価格になってしまっている。今回は「田舎ホラー」というテーマであったが、面白かったのが3人とも「田舎ホラー」についての考え方が違っていたというところ。確かに「田舎ホラー」というのは定義することがとても難しい。田舎に住む全員が新興宗教の信者というのはその定義から外れてしまうらしい。しかし、前回のブログでも少し述べたように『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』では肺病が原因で村八分にされ、そこから恨みと怨念渦巻く叛逆の物語へと流れていく。しかし、病気というものは、一種の宗教性を帯びている可能性がなくもない。「不浄」とされるものは「聖なる」ものがあってこそ成り立つ。土着した宗教があり、そこから排除されたものが、田舎ホラーを生み出していく可能性もあるのではないかと感じたりした。ただ、この人たちの映画や文学における知識はすごい。あと、高橋洋氏の話は基本的に怖い。山の根を見ながらいびつなリズムで歩いていると頭がおかしくなるという話、友人が亀の頭と手足を引きちぎってガメラみたいにぶん投げてきた話、怖すぎんよ。f:id:jzzzn:20190508223430j:image

稲生さんが言ってた『タバコ・ロード』も買わないとな。

タバコ・ロード (岩波文庫)

タバコ・ロード (岩波文庫)

 

 

アメリカン・ゴシック』

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若者グループが飛行機に乗って旅行に行った途中で機械の故障により、孤島に緊急着陸。助けを求めた家に入ってみると、そのに住んでいたのはキチガイファミリーでした!シンプル!ただ、家族の風貌がたまらなくいい。女の子…?男の子…?この人たち子供なの…?あぁ…キチガイか…と一発で悟ってしまう。f:id:jzzzn:20190508224425p:imageこいつらは子供の遊びで若者グループを殺戮しまくる!縄跳びでぐるぐる巻きにして殺害!f:id:jzzzn:20190508224650p:imageブランコ殺人は一見の価値しかない。f:id:jzzzn:20190508225222p:image

https://youtu.be/tUysReexvOE

文句なしの場内大爆笑。女の子が大事にしている赤ん坊は見せてもらうとカピカピのミイラだったり、それでも愛しているという、気狂いの中に見える家族愛も随所に感じたりもする。最終的にはキチガイvsキチガイの構図になるところも素晴らしい。もう大満足である。

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こうして私の2日目も無事終了。

残すはラスト1日!

昼食難民になってしまって、突然目覚めた個人的新企画「道(a.k.a 未知)の中華」についても書こうかなと思っています。