BONNOU THEATER

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カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポート(4月30日)

今年もこの時がやってきた。

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私が愛してやまない「カナザワ映画祭」。全く知らない土地金沢に引っ越してきた私に最高の娯楽を与えてくれたイベントである。これまでいくつかのレポートを書いているのでそちらもよければ読んでほしい。

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今回は名古屋シネマスコーレにて『田舎ホラー超大全科』というテーマ。

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タイトルだけでもう惹かれますな。

今回の大型連休、私は開催2日目の4月30日から、5月2日までの参加。

鑑賞は9本、トークは2本。

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今回は高速バスを使って金沢から名古屋へ朝から移動。(何日か後にこの路線で人が轢かれててビビった)

ドライブレコーダーが「事故の瞬間」を撮影 高速バスが歩行者はねる 愛知・名古屋駅前(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース

イモータン・ジョー(MAD SCULPTURES)と共に。

MAD SCULPTURESさんもインスタにあげてくださって嬉しかった。

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運良く渋滞もなく、時間通りに名古屋到着。直前にホテルは簡単に取れたのだが、まさかの昼食難民に。どこも大行列。泣く泣くコメダ。ただ、名古屋飯って、自然発生した庶民的な食べ物ってより、人為的に無理矢理生み出された感(味噌カツ台湾ラーメン、あんかけナポリタンなど)があってあまり食べる気もしないんだよな。

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シネマスコーレに来るのは初めてだったが、ちょうど以前のカナザワ映画祭で上映された『歯まん』も上映されていた。これに関しても以前記事を書いていたな。f:id:jzzzn:20190506221159j:image

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この日は『インフェルノ 蹂躙』、『復讐 運命の訪問者』、トークイベント『激論!!映画における野蛮とは!?』、『逆徒』、『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』と盛りだくさん。

 

インフェルノ 蹂躙』

f:id:jzzzn:20190506210150j:plainVHSのパッケージには「またひとりの女がハメられる」とかやっすいAVのサブタイトルみたいなのが書かれているが、そんな生易しいものではない。さすが脚本高橋洋。内容は『クリーピー』に近いが、もっと身近で現実にありそうな雰囲気がたまらなく怖い。自分の家に全く知らない人間が留守中に上がり込み、自分のプライベートを侵略していく…。この、盗撮物AVにも近いようで、ストーリー全体に漂う薄気味悪さはもう見ていてずっとハラハラしていた。一発目からこんな良質なものが見れるなんて…と感動さえしていた。また、立原麻衣の美しさがとてつもなかった。女優を美しく魅せるってこういうことかと。裸体まで完璧すぎてその点でももう最高としか言いようがなかった。

 

『復讐 運命の訪問者』

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こちらは我らが監督黒沢清×脚本高橋洋という間違いなさすぎる布陣。更に主演は哀川翔。その時点で最高すぎか。これももう至高の逸品。哀川翔の家族を殺した犯人が意外と近くでクリーニング屋をやっているという気味の悪さ。たくさんの人から言及されているが、映画が始まって一発目に映る、家の前で柿を貪り食う殺し屋役の六平直政の気持ち悪さよ。それを見た瞬間に「この映画は面白い」と確信した。これもまさに日常と非日常の邂逅。お互いが向き合って銃を撃ち合っているのに全く当たらないのとかも素晴らしすぎる。同僚の小日向さんを殺しちゃってもそのまま放置していくところとか、哀川翔カッコよすぎる。『黒沢清の全貌』文藝春秋(2017)で黒沢清高橋洋が対談しているけど、そこで「境界に危ないものが棲みつく」ということも話していて、これはまさにこの作品にも『インフェルノ 蹂躙』にも通ずる。

世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

 

 

『激論!!映画における野蛮とは!?』高橋洋×小林勇貴

これはもう小林監督の高橋洋愛全開のトークイベントとなっていた。それを見ているだけでこちらも微笑ましくなった。小林監督の高橋洋愛は、『実録・不良映画術』洋泉社(2017)を読んでいるとすごく伝わってくる。ちなみにこの本は読み物としてもめちゃくちゃおもしろいのでおすすめ。

実録・不良映画術 (映画秘宝セレクション)

実録・不良映画術 (映画秘宝セレクション)

 

 高橋洋ファンを続けていれば、最終的に同じ動画(イノシシの駆除映像)を見ていたという話も本当に面白かった。また、小林監督の「TikTokを見ている」という話にはとても共感ができた。私も暇があればTikTokをザッピングして、どのようなことを素人が限られた時間内で投稿しているのかという部分に注目して見たりするが、ナチュラルに頭おかしそうな人間がいたりして、正直やめられない。時々怖い映像なども投稿されているが、「何かが写ってます!」みたいな投稿コメントだけで、実際何が写っているのか見てもよくわからなかったりもするが、それも含めていろいろと知ることができて面白いコンテンツである。

ちなみに小林勇貴監督とは、『全員死刑』公開時に当時付き合っていた妻をクリスマス上映に無理矢理連れていき、上映後にクリスマスソングを大合唱して以来だった。

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写真は電気止め刺し機を使ったイノシシ駆除の動画について熱く語る小林勇貴監督。

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この動画は解説している男の表情がやばすぎる。

映像としてはこっちのほうがわかりやすいかも。

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『逆徒』

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小林勇貴監督による自主映画『逆徒』。全編富士宮撮影らいしのだが、川崎感がとてつもなかった。以前記事にもさせてもらったが、上村君事件からインスパイアされたのであろう、冒頭の集団リンチから始まり、衣服を公衆便所で燃やしたり、バーベキューをする姿はまさしくそれだった。また、よく夜の工場が映るのだが、もうまさに川崎、ゲットー感が半端なかった。

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その中にある薄気味悪さと暴力の連鎖は、さすが小林勇貴…といった感じ。音楽もとても良かった。上映後に少しでもこの川崎感を監督とも共有したいと思って劇場を飛び出したが、もう高橋洋氏とでも飲みに行かれたのか、どこにも見当たらなかった。残念。

 

『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』

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Amazonより引用

村八分にされた家族、レイプされる妹、殺される主人公。まさしく日本の「村」感が凝縮された映画。1969年の映画ではあるが、映像がとても綺麗だった。この映画、甦った男が村人全員を虐殺する映画(津山三十人殺し)なのだが、これもまた名言が多い。

「俺は昨日死んだ男だ!」から始まり、どストレートな「死ね!」。

妹をレイプした村人が外でセックスしているところに日本刀を持って割って入り、そのまま無理矢理セックスさせようとするのだが、状況が状況なだけに「勘弁してくれ」と懇願してくる男に対して「弱音を吐くな!」と謎の叱責。たまらなすぎる。

この映画、村八分の原因は肺病とされている。5月1日に行われたトークイベント『映画の生体解剖』では、「田舎ホラーとは」というところから話がされたが、宗教が絡むと田舎ホラーとは言えないという話が出てきたが、病気というものの根底には宗教的なものが絡んでいたりもするし、なかなか定義するのが難しい問題だとも思わされた。まあこの辺はまた後日書くとしよう。

 

参加1日目としては、全くのハズレ無しで逆に驚いてしまった。

これだけの良質な映画を1日で堪能できただけで満足であったが、次の日もこれまたすごいのであった…。飽きなければ続編を書きます…。