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ツイッターやってます(@bonkurabrain)。映画について書こうかと。映画は体験であって、映画が不謹慎で何が悪いがモットー。本、映画、宗教の話が好き。

カナザワ映画祭2017レポート~『歯まん』~

カナザワ映画祭2017が始まった!

「期待の新人監督」には、89作品の応募があり、22作品がノミネートとなった。

3日間かけてこの22作品の上映が金沢21世紀美術館シアター21にて行われた。

もうカナザワ映画祭主宰、小野寺氏のブログやツイッターでも報告があった通り、「期待の新人監督賞」には『ハングマンズノット』が選ばれた(私は見逃してしまい、本当に悔やんでいる)。

eiganokai.blog.fc2.com

 

私が鑑賞したのは、短編含め10作品ほどであったが、いくつか印象に残ったものを簡単に書いておきたい。

 

『歯まん』

読み方は、「はまん」。鑑賞直前まで「しまん」と読んでいたのが恥ずかしい(前売り券を買うときにも「『しまん』を一枚ください」と言ってしまった)。

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トーリーは女性器に歯が生えている(本人も知らなかった)女子高生が初めてのセックスで彼氏の男性器をかみちぎってしまい、血しぶきぷしゃー!というもの。

冒頭からいきなり上記の描写で、狂気じみた世界が展開される。しかし、その後、物語は女子高生の内面的な部分から純愛(あまりこの言葉は好きではないが)へと変貌していく。愛とセックスどちらを選べばいいのか、という問題に対して究極的な問いを見ている側に投げかけてくる。

途中で八百屋のオッサンに強姦されるシーンでは、オッサンに対して「こいつは絶対ゆるさねぇ」って思いながら主人公に「やっちまえ!!!」と叫びそうになったり。

そして、人を好きになっても自分はセックスできないというコンプレックスを抱えながらも人を好きになってしまう主人公の痛みを感じた。

 

物語の終盤、これはどのように終わるのだろうか?

「愛」はセックスを超えた偉大なものである、というありきたりなもので終わってしまうのでは?思っていたら、主人公の彼氏が「セックスがしたい」と主人公に伝えるシーンに私は心の中で歓声をあげていた。よく言った!!

 

セックスというものにいろいろな形がある中で、「『愛』と『セックス』は同居し得る」ということを今一度大きく打ち出したのがこの映画の最大の見どころだったのではないかと思う。

「いつ死ぬかわからないから、愛している人とセックスをして死ぬなら本望」

これこそが最大の「愛」なのではないかと強く思わされた。

最後口と歯のアップで終わるのもよかった。

 

 

女性器に歯が生えているというのは、物語としてはあまり不思議ではない。

昔からこのようなことは神話などで語られてきた。

ヴァギナ・デンタタ - Wikipedia

 

今回のカナザワ映画祭「期待の新人監督」は、『家畜人ヤプー』をはじめ、『もりのくまさん』、『自由を手にするその日まで』だったりと、人間の内面に刷り込まれてしまったもの(だからといって許されてはならないもの)を覆す、現代の価値観そのものの否定を真正面から行っている作品が多かった。

 

『歯まん』は画としての豪快さや派手さはあまりなかったが、その分、私たちの内面に迫ってくるようで、見終わって数日後にじわじわとくる映画だった。

 

さいこう!