BONNOU THEATER

ツイッターやってます(@bonkurabrain)。映画が不謹慎で何が悪い。本、映画、宗教の話が好き。

街の中華をディグれ!『道(a.k.a 未知)の中華』〜カナザワ映画祭2019番外編2〜

カナザワ映画祭2019の期間中、一番困ったのは食事だった。まず名古屋駅は人が多すぎる。川崎に長いこと暮らしていて、ひとごみなんて当たり前だったが、金沢に引っ越してきてからは人がいない心地よさに慣れてしまったため、名古屋駅のごった返しかたは頭がクラクラした。

お昼時になると、どの店ももう人人人。

まず、そもそもなのだが、名古屋名物は食べる価値あるのかという問いが私の中にはある。何というか、金沢だったら魚介!広島だったら牡蠣!レモン!大阪だったら粉もん!名古屋なら、、、味噌カツ!!!!名古屋だけ他とは違くねーか?

台湾ラーメン!!!手羽先!!!!!あんかけナポリタン!!!!!!!!!名古屋名物って、自然発生的に生まれたものっていうより、どうしても人工的なイロモノ感があるんだよな。味噌カツ食べるならトンカツ食べに行きます…ってなるんだよな。

ただ、最初はやはり「名古屋飯」を堪能しなければ!というある種の強迫観念から、到着した昼からお店を探していたが、どこも大行列。矢場とんなんて、並んでるのが恥ずかしくなるくらいの行列。。。見事に昼食難民。映画の時間も迫っているため、名古屋飯を食べれずに何故か悲しい気持ちになりながら泣く泣くコメダ珈琲へ。辛うじて名古屋感を演出。f:id:jzzzn:20190509213515j:image
f:id:jzzzn:20190509213528j:image映画監督の小林勇貴氏も見事に昼食難民。

 

『華明閣』

1日目の映画も終わり、何か食べるかあ…と思いながら、宿泊していた例のファーストキャビン(ファーストキャビンに宿泊してみたら墓守になった~カナザワ映画祭2019番外編~ - BONNOU THEATER)の方へ向かって歩いていると、、、中華料理屋を発見!!!しかもなかなかいい雰囲気。いい雰囲気とは、ホラー感がやばい。薄暗すぎる。外見が汚すぎる!その店の名は『華明閣』。入店してみると、中国人形がショーケースの中にズラリ。床はマリオとかの氷のステージばりにツルツルしている。店内も外観と同じく小汚さがやべえ!これはいい…!
f:id:jzzzn:20190509213450j:image
f:id:jzzzn:20190509213446j:image
f:id:jzzzn:20190509213459j:image

ただこの店、夜もセットメニューをしており、ラーメンとチャーハンで780円!!安すぎる。貧乏旅行にはありがたすぎる。そして何より、私はチャーハンが大好きなのだ。そして、期待通りのしっかりと人を安心させてくれる味…!!!ここで俺の何かが目覚めた。

気がつけば次の日の昼にも来ていた…。f:id:jzzzn:20190509213525j:imageこちらは台湾ラーメンとチャーハンのセット!830円くらいだったような。台湾ラーメンは一応食べておこうと思って食べてみたが、まあお店が悪いというより、なるほどこんなもんかという印象。

中国料理 華明閣 (カメイカク) - 名古屋/中華料理 [食べログ]
なみにこの店の裏手にファーストキャビンがあったのだが、一回通った時、従業員がトランクス丸出しで着替えてた。尚良し!

ここからはもうチャーハン熱が止まらない!名古屋飯なんていらねえ!!!!チャーハンを食わせろ!!!!米を炒めろ!!!!!!

 

『平和園』
f:id:jzzzn:20190509213519j:image

2日目の夜も中華を求めて歩き回る。こちらはシネマスコーレ近くの中華料理屋。『華明閣』は割と店内に中国の大衆食堂感が溢れていたが、この店は理想的な街に根付く中華料理屋という感じ。すごく安心できる雰囲気である。
f:id:jzzzn:20190509213505j:image

チャーハンと餃子を注文。カウンターに座ったのだが、めちゃくちゃにカウンターが狭い!その狭さもまた懐かしさがあっていい。お店も地元の人たちがたくさんおり、チャリンコに乗ったおばちゃんも、出かけてたついでに寄ったよーといった感じでご来店。
f:id:jzzzn:20190509213522j:image
f:id:jzzzn:20190509213453j:image

味はもう抜群すぎる。これだよこれえ!!!俺が求めていたチャーハン!!!!うますぎる。チャーハンは食べてると涙が出そうになる。「米を炒める」このシンプルな作業の中には夢が詰まりすぎている。ちなみにここは、駅西銀座という通りにあるのだが、この通りには無料Wi-Fiも飛んでおりその辺もすげーと感じた。また、帰るときに知ったのだが、『平和園』はシネマスコーレのスポンサーもしているらしい。ここは見つけて正解だった。映画祭に参加してた人たちも結構行ってたみたいですね。

平和園 - 名古屋/中華料理 [食べログ]


『中華料理 富士』
f:id:jzzzn:20190509213511j:image

こちらは、シネマスコーレからさらに進んだところにある中華料理屋。参加3日目のお昼に訪問。ここもこれまでの場所とは違って、街に根付いた中華料理屋の雰囲気を携えつつ、上品な内装に。中国人のグループがお昼を食べていた。接客は、とてもお淑やかなマダムがしてくれて、中華料理屋には似つかわしくないくらいの上品さであった。

f:id:jzzzn:20190509213508j:imageそしてこちらでもチャーハンを注文!ここのチャーハンは550円と激安!
f:id:jzzzn:20190509213502j:imageしかも何が凄いかって、付け合わせはザーサイ!ザーサイ好きの私にはたまらなすぎる!!!そして中の具にはちゃんと焼豚が使われている!!!!最高〜。
f:id:jzzzn:20190509213456j:image餃子も小ぶりながら味わい深かった。

 

今回、昼食難民になったことから、街の中華巡りをしてみたが、本当に新しい発見で面白かった。高級中華や気取った意識高い店ではなく、誰もいない通りにポツン…と立っている中華屋にこそ、その街が凝縮されていて、「ひとがいる」と感じた。そして、どのお店もチャーハンの味が違う。。。

チャーハンの味は街の味なのだ。

それこそストリート、『道(a.k.a 未知)の中華』の醍醐味。

 

これはやめられねえ。次は金沢の中華屋を巡らないとな。

カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポートその2(5月1日)

前回(カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポート(4月30日) - BONNOU THEATER)に引き続き、今回は5月1日のレポート。

 

4月30日は全て見終わったあと、「ファッキャ」ことファーストキャビンで夜を過ごし(ファーストキャビンに宿泊してみたら墓守になった~カナザワ映画祭2019番外編~ - BONNOU THEATER)気付けば1人寂しく新たな時代「令和」を迎えていた。「平成」の最後は『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』で終えることができた。

「令和」一発目は…。

 

『暴れん坊村長』

f:id:jzzzn:20190508214219j:image(原題:TRAPPED)

こちらは、2016年のカナザワ映画祭の田舎ホラーオールナイトでも上映された(田舎ホラー大全科第二集 - カナザワ映画祭2016|かなざわ映画の会)。この時も深夜に関わらず場内は大盛り上がりだった。本当は前にも見ているため、今回は見逃す予定だったが、キャンセルが出たとのことでギリギリになって急遽追加購入したのだ。

さて、内容は、よくいる何も考えていなそうな大学生たちがわざわざ田舎に遊びに行き、キチガイ村長に襲われるというシンプルかつ激アツな内容だ。この村長、かなりのキチガイで、外で女とおっぱじめようとしていたら、それを見ていた餓鬼を見つけては早速殺しにかかろうと山中を駆けずり回る。村長を怒らせた奴にはコールタールぶっかけの刑!!!f:id:jzzzn:20190508215120p:image仲間の大学生も次々に殺害!警察は無能!地下では密造酒の大量生産!法なんてどこにも届かない!最後は大爆発!f:id:jzzzn:20190508215223p:imageお決まりすぎる展開に思わず感嘆の声が漏れる。そして締めは謎にシリアスな終わり方。

ヘンリー・シルヴァの映画は本当にハズレがない…。令和一発目になんて縁起のいいものを観れたんだ…。

 

『野蛮で素敵な田舎白人』

f:id:jzzzn:20190508221519p:imageこれは今回一番楽しみにしていた作品。ウエストヴァージニア州ブーン郡に住む家族のドキュメンタリー。この家族、何でもあり。しかも家族もめちゃくちゃ多い。母親の誕生日パーティーに集まって、母親そっちのけで大麻パーティーをしたり、ライブハウスのトイレでコカインを吸ったり、服役中の息子がいたりとまさしく犯罪一家。ピエール瀧がコカイン吸っていた!?そんなのがとんでもなく小さく見えてしまう。f:id:jzzzn:20190508221733p:imagef:id:jzzzn:20190508221738p:imagef:id:jzzzn:20190508221744p:imageただこの人たち、めちゃくちゃ楽しそう。今を全力で生きてる感がすごい。しかし、後半は生まれた赤ん坊を行政に引き取られてしまい、薬物から足を洗おうとする家族の姿も見えたり、割とハートウォーミングな作りになっていた。与えられた環境から抜け出すってなかなかできることじゃないよなあ。気になるのはこの家族、全員顔がめちゃくちゃシワシワ。やはり薬物の影響はこういうところに出るのだろうか…?

 

『映画の生体解剖〜山の狂気、森の妖精、辺境の暴力〜』稲生平太郎×高橋洋×小野寺生哉

f:id:jzzzn:20190508223455j:imageカナザワ映画祭名物『映画の生体解剖』。

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

映画の生体解剖~恐怖と恍惚のシネマガイド~

 

こちらはもうプレミア価格になってしまっている。今回は「田舎ホラー」というテーマであったが、面白かったのが3人とも「田舎ホラー」についての考え方が違っていたというところ。確かに「田舎ホラー」というのは定義することがとても難しい。田舎に住む全員が新興宗教の信者というのはその定義から外れてしまうらしい。しかし、前回のブログでも少し述べたように『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』では肺病が原因で村八分にされ、そこから恨みと怨念渦巻く叛逆の物語へと流れていく。しかし、病気というものは、一種の宗教性を帯びている可能性がなくもない。「不浄」とされるものは「聖なる」ものがあってこそ成り立つ。土着した宗教があり、そこから排除されたものが、田舎ホラーを生み出していく可能性もあるのではないかと感じたりした。ただ、この人たちの映画や文学における知識はすごい。あと、高橋洋氏の話は基本的に怖い。山の根を見ながらいびつなリズムで歩いていると頭がおかしくなるという話、友人が亀の頭と手足を引きちぎってガメラみたいにぶん投げてきた話、怖すぎんよ。f:id:jzzzn:20190508223430j:image

稲生さんが言ってた『タバコ・ロード』も買わないとな。

タバコ・ロード (岩波文庫)

タバコ・ロード (岩波文庫)

 

 

アメリカン・ゴシック』

f:id:jzzzn:20190508223813j:image

若者グループが飛行機に乗って旅行に行った途中で機械の故障により、孤島に緊急着陸。助けを求めた家に入ってみると、そのに住んでいたのはキチガイファミリーでした!シンプル!ただ、家族の風貌がたまらなくいい。女の子…?男の子…?この人たち子供なの…?あぁ…キチガイか…と一発で悟ってしまう。f:id:jzzzn:20190508224425p:imageこいつらは子供の遊びで若者グループを殺戮しまくる!縄跳びでぐるぐる巻きにして殺害!f:id:jzzzn:20190508224650p:imageブランコ殺人は一見の価値しかない。f:id:jzzzn:20190508225222p:image

American Gothic (1988) - Clip 1: The Swing - YouTube

文句なしの場内大爆笑。女の子が大事にしている赤ん坊は見せてもらうとカピカピのミイラだったり、それでも愛しているという、気狂いの中に見える家族愛も随所に感じたりもする。最終的にはキチガイvsキチガイの構図になるところも素晴らしい。もう大満足である。

f:id:jzzzn:20190508225430j:imagef:id:jzzzn:20190508225435j:image

 

こうして私の2日目も無事終了。

残すはラスト1日!

昼食難民になってしまって、突然目覚めた個人的新企画「道(a.k.a 未知)の中華」についても書こうかなと思っています。

ファーストキャビンに宿泊してみたら墓守になった~カナザワ映画祭2019番外編~

前回の記事の番外編(カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポート(4月30日) - BONNOU THEATER)として、人生で初めてカプセルホテルに泊まってみた話。
私は環境が変わってしまうとあまり熟睡できないタイプである。そのため、自分の睡眠の質などはとても重要視していて、これまでは普通のビジネスホテルで最低限の睡眠は確保してきた(ホテルに泊まることはそれ自体が非日常であるため大好き)。しかし、今回は予算の関係もあり、カプセルホテルをチョイスするという結果に。しかし、最近はファーストキャビンなど、カプセルホテルとしては質の高いものが増えてきていると聞いていたため、迷わずこちらをチョイス。

これがファーストキャビンのコンセプト。

f:id:jzzzn:20190507230056j:image

金沢にも少し前にファーストキャビンができ、一度だけフロントまで行ってみたが、とても品格がある雰囲気だったため、もともと印象はよかった。

私が抱くカプセルホテルのイメージは以下のようなもの。

f:id:jzzzn:20190507224248j:image

これはこれで、サイヤ人の乗ってたポッドみたいで憧れはある。

f:id:jzzzn:20190507225022j:image

名古屋駅から徒歩10分くらいの、少し街からは外れた裏手に今回宿泊したファーストキャビンTKP名古屋駅(TKPって何だ)はある。

f:id:jzzzn:20190507225116j:image金沢店と同じようにフロントはとてもきれい。また、フロントには外国人の従業員もいるため、多言語に対応できる親切さ。ロビーには電動のピアノが音楽を奏でており、充電スペースもある。

f:id:jzzzn:20190507225352j:image

しかし、2日目の日中には、ここで名古屋までフィギュア購入遠征に来たのであろう男性が戦利品をめちゃくちゃに広げ、郵送するために荷物整理していたのはめちゃくちゃ邪魔だった。

f:id:jzzzn:20190507225224j:image

ロビーの横には朝食会場にもなるスペースがあり、朝と夜には開け放たれている。日中はパーテーションで区切られていた。

ファーストキャビン の良いところは、フロアが完全に男女で区切られていて、エレベーターも男女で別。常にカードキーを使って移動するため、自分の部屋のフロアとロビー、大浴場以外はいけないという仕組み。

部屋の近く。廊下?はこんな感じ。とても上品な作りで驚く。
f:id:jzzzn:20190507225218j:image

どうやら私がチョイスした部屋は「ビジネスクラス」と言われるもの。とてもコンパクトでいい感じ。あのイメージとは全然違う!!!!
f:id:jzzzn:20190507225213j:image

寝転ぶと上にはテレビ。テレビはイヤホンをつけて視聴します。

f:id:jzzzn:20190507230610j:image

しかし、難点としては、私は1日中着た服で寝床に座ったり寝そべるのは絶対に嫌な人間なのだが、もうここは座るしかない。ここにしか自分のプライベート空間はないのだから。その点、もうワンランク上の「ファーストクラス」はちゃんとしたベッド以外の空間もセッティングされていた。f:id:jzzzn:20190507231225j:image

また、貴重品を入れるところはあるのだが、鞄が入らない…。ファーストキャビンはあくまでも簡易宿泊所であるため、部屋自体に鍵はない。簡単な仕切りがあるだけだ。f:id:jzzzn:20190507230949j:imageキャリーケースは部屋とは別にチェーンでロックして保管できる場所があるのだが、私は出来る限り身軽で手に荷物を持ちたくないので、リュックで来ていた…。もうフロントに預けるか、自己管理しかない。とりあえず貴重品は鍵付きのボックスに入れるが、いちいちフロントに荷物を預けるのも馬鹿らしく、荷物は部屋にそのままにして大浴場に行くしかなかった。そのため、ソワソワしてしまい、清潔感もあってなかなかいい大浴場だったのだが、落ち着いてお湯に浸かることができなかった。更に、リュックだと、寝る時めちゃくちゃ邪魔になるのだ。もう枕の横に置くしかないという状況であったため、頭付近のスペースがめちゃくちゃ狭くなってしまう。せっかく風呂にも入った綺麗な体なのに、顔の真横には汚れたリュック…。足元に置いてしまうと、簡単に持っていかれそうな感じもあったため、頭付近に置いておくしかなかった。そのためもう墓守りのように、自分のリュックを一晩中守り抜くしかなかったのである。それさえなければとても快眠できただろう。ちなみにWi-Fiは全フロア完備で、結構サクサクに動く。

問題は次の日に起きた。私は2泊したため、2日目の夜…。隣の部屋に来た男がとんでもない巨漢で、えげつないイビキの持ち主だった。更に反対側の隣はなんだか1人でブツブツ言ってるやばい奴。カナザワ映画祭で「田舎ホラー」をたっぷり堪能している私にとっては、十分恐怖となりうる状況。この世のものではない音と何を言っているのか聞き取れない声に挟まれていつつ、肉体は睡眠を要求。うとうとしててもこの音たちは自分を逃してくれない。ヤバい奴らにリュックを持っていかれないようにと、うとうと以上の睡眠に突入できない…!右にはイビキオヤジ、左にはブツブツニンゲン、忍び寄る魔の手。奴らから俺のリュックを守れ…!f:id:jzzzn:20190507234154j:imageアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァ!!!!!!!!!!!!俺は墓守りダァ!!!!!!!!

ズオウとヒイタチ (くまのプーさん) - YouTube

もう完全にズオウとヒイタチ状態。悪夢。

そんなこんなで3日目の朝を迎えました。ちなみにフロントでは耳栓などの貸し出しを無料でしているそう。後から知った…。

 

全体からすると、とても清潔でいいホテルでした!あとモーニングコールも斬新だと感じたので、次回泊まるときは是非お願いしようと思う。f:id:jzzzn:20190507233027j:image

 

ファーストキャビンは略すと「ファッキャ」になるのかな。昔、ファーストキッチンを略して「ファッキン」と呼んでいる高校生に出会って衝撃を受けたのを思い出した。

ちなみに金額は2泊で6600円。早割とは言え激安!!!!!!!

ファッキャ!オススメです!

カナザワ映画祭2019『田舎ホラー超大全科』参加レポート(4月30日)

今年もこの時がやってきた。

f:id:jzzzn:20190506215338j:image

私が愛してやまない「カナザワ映画祭」。全く知らない土地金沢に引っ越してきた私に最高の娯楽を与えてくれたイベントである。これまでいくつかのレポートを書いているのでそちらもよければ読んでほしい。

jzzzn.hatenablog.com

jzzzn.hatenablog.com

jzzzn.hatenablog.com

jzzzn.hatenablog.comjzzzn.hatenablog.com

 

今回は名古屋シネマスコーレにて『田舎ホラー超大全科』というテーマ。

www.eiganokai.com

タイトルだけでもう惹かれますな。

今回の大型連休、私は開催2日目の4月30日から、5月2日までの参加。

鑑賞は9本、トークは2本。

f:id:jzzzn:20190506215432j:image

今回は高速バスを使って金沢から名古屋へ朝から移動。(何日か後にこの路線で人が轢かれててビビった)

ドライブレコーダーが「事故の瞬間」を撮影 高速バスが歩行者はねる 愛知・名古屋駅前(中京テレビNEWS) - Yahoo!ニュース

イモータン・ジョー(MAD SCULPTURES)と共に。

MAD SCULPTURESさんもインスタにあげてくださって嬉しかった。

f:id:jzzzn:20190506221229p:image

運良く渋滞もなく、時間通りに名古屋到着。直前にホテルは簡単に取れたのだが、まさかの昼食難民に。どこも大行列。泣く泣くコメダ。ただ、名古屋飯って、自然発生した庶民的な食べ物ってより、人為的に無理矢理生み出された感(味噌カツ台湾ラーメン、あんかけナポリタンなど)があってあまり食べる気もしないんだよな。

f:id:jzzzn:20190506215645j:image

シネマスコーレに来るのは初めてだったが、ちょうど以前のカナザワ映画祭で上映された『歯まん』も上映されていた。これに関しても以前記事を書いていたな。f:id:jzzzn:20190506221159j:image

jzzzn.hatenablog.com

 

この日は『インフェルノ 蹂躙』、『復讐 運命の訪問者』、トークイベント『激論!!映画における野蛮とは!?』、『逆徒』、『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』と盛りだくさん。

 

インフェルノ 蹂躙』

f:id:jzzzn:20190506210150j:plainVHSのパッケージには「またひとりの女がハメられる」とかやっすいAVのサブタイトルみたいなのが書かれているが、そんな生易しいものではない。さすが脚本高橋洋。内容は『クリーピー』に近いが、もっと身近で現実にありそうな雰囲気がたまらなく怖い。自分の家に全く知らない人間が留守中に上がり込み、自分のプライベートを侵略していく…。この、盗撮物AVにも近いようで、ストーリー全体に漂う薄気味悪さはもう見ていてずっとハラハラしていた。一発目からこんな良質なものが見れるなんて…と感動さえしていた。また、立原麻衣の美しさがとてつもなかった。女優を美しく魅せるってこういうことかと。裸体まで完璧すぎてその点でももう最高としか言いようがなかった。

 

『復讐 運命の訪問者』

f:id:jzzzn:20190506211341j:plain

こちらは我らが監督黒沢清×脚本高橋洋という間違いなさすぎる布陣。更に主演は哀川翔。その時点で最高すぎか。これももう至高の逸品。哀川翔の家族を殺した犯人が意外と近くでクリーニング屋をやっているという気味の悪さ。たくさんの人から言及されているが、映画が始まって一発目に映る、家の前で柿を貪り食う殺し屋役の六平直政の気持ち悪さよ。それを見た瞬間に「この映画は面白い」と確信した。これもまさに日常と非日常の邂逅。お互いが向き合って銃を撃ち合っているのに全く当たらないのとかも素晴らしすぎる。同僚の小日向さんを殺しちゃってもそのまま放置していくところとか、哀川翔カッコよすぎる。『黒沢清の全貌』文藝春秋(2017)で黒沢清高橋洋が対談しているけど、そこで「境界に危ないものが棲みつく」ということも話していて、これはまさにこの作品にも『インフェルノ 蹂躙』にも通ずる。

世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

世界最恐の映画監督 黒沢清の全貌

 

 

『激論!!映画における野蛮とは!?』高橋洋×小林勇貴

これはもう小林監督の高橋洋愛全開のトークイベントとなっていた。それを見ているだけでこちらも微笑ましくなった。小林監督の高橋洋愛は、『実録・不良映画術』洋泉社(2017)を読んでいるとすごく伝わってくる。ちなみにこの本は読み物としてもめちゃくちゃおもしろいのでおすすめ。

実録・不良映画術 (映画秘宝セレクション)

実録・不良映画術 (映画秘宝セレクション)

 

 高橋洋ファンを続けていれば、最終的に同じ動画(イノシシの駆除映像)を見ていたという話も本当に面白かった。また、小林監督の「TikTokを見ている」という話にはとても共感ができた。私も暇があればTikTokをザッピングして、どのようなことを素人が限られた時間内で投稿しているのかという部分に注目して見たりするが、ナチュラルに頭おかしそうな人間がいたりして、正直やめられない。時々怖い映像なども投稿されているが、「何かが写ってます!」みたいな投稿コメントだけで、実際何が写っているのか見てもよくわからなかったりもするが、それも含めていろいろと知ることができて面白いコンテンツである。

ちなみに小林勇貴監督とは、『全員死刑』公開時に当時付き合っていた妻をクリスマス上映に無理矢理連れていき、上映後にクリスマスソングを大合唱して以来だった。

f:id:jzzzn:20190506215527j:image

f:id:jzzzn:20190506215544j:image

写真は電気止め刺し機を使ったイノシシ駆除の動画について熱く語る小林勇貴監督。

www.youtube.com

この動画は解説している男の表情がやばすぎる。

映像としてはこっちのほうがわかりやすいかも。

www.youtube.com

 

『逆徒』

www.youtube.com

小林勇貴監督による自主映画『逆徒』。全編富士宮撮影らいしのだが、川崎感がとてつもなかった。以前記事にもさせてもらったが、上村君事件からインスパイアされたのであろう、冒頭の集団リンチから始まり、衣服を公衆便所で燃やしたり、バーベキューをする姿はまさしくそれだった。また、よく夜の工場が映るのだが、もうまさに川崎、ゲットー感が半端なかった。

jzzzn.hatenablog.com

その中にある薄気味悪さと暴力の連鎖は、さすが小林勇貴…といった感じ。音楽もとても良かった。上映後に少しでもこの川崎感を監督とも共有したいと思って劇場を飛び出したが、もう高橋洋氏とでも飲みに行かれたのか、どこにも見当たらなかった。残念。

 

『新日本暴行暗黒史 復讐鬼』

f:id:jzzzn:20190506213957j:plain

Amazonより引用

村八分にされた家族、レイプされる妹、殺される主人公。まさしく日本の「村」感が凝縮された映画。1969年の映画ではあるが、映像がとても綺麗だった。この映画、甦った男が村人全員を虐殺する映画(津山三十人殺し)なのだが、これもまた名言が多い。

「俺は昨日死んだ男だ!」から始まり、どストレートな「死ね!」。

妹をレイプした村人が外でセックスしているところに日本刀を持って割って入り、そのまま無理矢理セックスさせようとするのだが、状況が状況なだけに「勘弁してくれ」と懇願してくる男に対して「弱音を吐くな!」と謎の叱責。たまらなすぎる。

この映画、村八分の原因は肺病とされている。5月1日に行われたトークイベント『映画の生体解剖』では、「田舎ホラーとは」というところから話がされたが、宗教が絡むと田舎ホラーとは言えないという話が出てきたが、病気というものの根底には宗教的なものが絡んでいたりもするし、なかなか定義するのが難しい問題だとも思わされた。まあこの辺はまた後日書くとしよう。

 

参加1日目としては、全くのハズレ無しで逆に驚いてしまった。

これだけの良質な映画を1日で堪能できただけで満足であったが、次の日もこれまたすごいのであった…。飽きなければ続編を書きます…。

感動ポルノ?ふざけんな。『聲の形』

この間実家に帰ってダラダラしていると、テレビの録画リストの中に『聾の形』という映画が入っているのを発見した。そういえば昨年地上波だかで放送するとかなんとかで話題になっていたことを思い出したので、見てみることにした。ちなみに原作は読んでいない。

f:id:jzzzn:20190312233920j:plain

聲の形公式サイトより

www.youtube.com

あらすじをざっと書いておく。もっと気になるやつはウィキを見るべし。

ja.wikipedia.org

主人公石田が小学校時代に転校してきた西宮は先天性の障害によって耳が聞こえない女の子。石田は気になるという思いから、ちょっかいをかけるようになり、最初は優しかったクラスメイトもだんだんと西宮を煙たがるようになり、次第にいじめへと発展していく。西宮の補聴器を奪い取っては投げたり壊したりしていた石田だが、ある日、いつもと同じように耳から補聴器を奪い取ったところ、引っかかってしまい、西宮は耳から出血をしてしまう。そこから、いろいろと話が展開し、西宮は転校、石田は逆にいじめの対象となってしまう。そこから月日は過ぎ、高校生となった石田は自殺を試みるが、結局はできなかった。そこで、昔いじめていた西宮に会いに行く…。

こんな内容。

 

一言で言うと、とんでもなく酷い。

日本の中高生や頭お花畑人間どもが感動する映画ってどうしてこうまでして下衆いものしかないのか。Yahoo!映画とか見ても高評価ばかり。filmarksも同じく。

ここまで人気な映画だろうから、批判すると、変な奴も湧いてきそうだが、

「救われたい私」

に終始しすぎてはいないか?

アニメだから多少は!とか言うかもしれないが、これは私が以前書いたフィクションとはということを読んでもらいたい。高校時代を経験している人間にとって、この物語は有り得るのか?

jzzzn.hatenablog.com

映画全体の見栄えやキャラについてだが、登場人物が基本的に屑しかいない。

まず主人公。

f:id:jzzzn:20190312234819p:image

すべての元凶。聴覚障害者をいじめておいて、いじめがばれて周りに自分がいじめ返されたから死にますとかいう鬼のメンタルの持ち主。いくら子供だからといって、人の補聴器と一緒に耳を引きちぎる時点で許されるべき人間ではないだろ。そこから心を入れ替えて手話を学びましたとか都合よすぎ。挙句の果てにはいじめていた相手のことが好きになるという立派なサイコパス。自分の青春を取り戻すためにいじめていた相手を利用しているようにしか俺には見えなかった。

そしてヒロインの西宮。

f:id:jzzzn:20190312234826p:image

これを言うと、「アニメだから!」勢が湧いてくると思うのだが、ここまで美少女な理由はなんなのか。正直、これが不細工だったら、石田は自責の念を持たなかっただろ。そしてヘラヘラしすぎ。美少女で天然で体に不自由がある。これってこの国でどれだけ消費しつくされてきたコンテンツなのよ。眼帯美少女とかとなんら変わらんだろ。そして、昔自分をいじめ倒して、耳まで引きちぎった男を好きになるか?そんなチンケなトラウマなら転校すんなや。なめすぎ。

西宮の妹についても、気に食わないところもあるが、ウィキペディアに載っている一文は本当に気持ち悪い。

趣味は写真撮影で、いつも一眼レフカメラを首から下げているが、撮影するのはもっぱら動物の死骸ばかりである。その理由は硝子が小学生時代にいじめを苦に自殺を考えていたことに対し、動物の死骸の写真を見せることで自殺を思いとどまらせるためであった。

https://ja.wikipedia.org/wiki/聲の形より

全てが気持ち悪い。普通に生活してて自分が一眼持っているときに動物の死体に遭遇するかね。こいつが殺ってんじゃないのかって思うよ。カメラで盗撮したりとか。

小学校時代のクラスメイトたちはもう言うまでもなくゴミみたいな奴らしかいない。植野がどうとか川井がどうとかはもはやどうでもいい。俺が一番気に食わないのは、真柴とかいうやつ。ぽっと出のくせに首突っ込んで、自分が正義だと思い込みやがって、空気も読めないのか。

f:id:jzzzn:20190312234855p:image

あと、小学校時代のあの教員は何?まったくもって感情がなくて、お前なぜ教師になったと問いただしたくなるレベルの授業内容と生徒への指導。あんなのいないわ。いじめ発覚したときも、校長の前だから的なのはまああるんだろうけど、子供相手に口調がイキりすぎ。発言するたびに笑ってしまった。意味不明な方向に教師をデフォルメしすぎてないか?

あと、ちょいちょい植野がコスプレ喫茶的なのでバイトしているのではないかみたいなミスリードを入れたり、足のアップがあったりとかも必要なさすぎ。

 

とかまあ書き出すと止まらん。基本全員メンヘラ。

冒頭にも書いたように、この映画は「救われたい自分」に登場人物が酔いしれ過ぎている。そんな自分に対して生まれてくる「自殺願望」は陳腐でしかない。自殺まで考えてしまっているのがとてもえらい!尊い!的な発想はどうにかならないの?そこまで追い込まれていたんなら許されてオッケー!みたいな感じ。死ぬことが尊いのか?簡単に橋から飛び降りようとしたり、私がいたら迷惑だからとマンションから飛び降りたり。正直私自身、死のうと思ったことは確かにある。しかし、この映画は自ら死を選ぼうとする人間のもっと細かい気持ちの揺れ動きや、心の機微をないがしろにしすぎていないか?ジョジョの奇妙な冒険第6部に登場するサンダー・マックイイーンかよお前ら。

f:id:jzzzn:20190312234803j:image

そして、自分がしてしまった罪を0(チャラ)にしようとする描写が多すぎる。相手の心と体を再起不能にするまでのいじめ、その代償が相手の自殺を食い止める身代わりなのか?それって何かが許されるの?自分がしてしまったことに対する罪滅ぼし的なシーンが綺麗に、都合よく描かれ過ぎていないか?ましてや生き返るし。自分の娘をいじめていた石田の母親に対して、娘がされたことと同じように、石田母の耳をピアスごと引きちぎった西宮の母親は、土下座によって自分がしたことをチャラにさせられたようにしか感じない。マウントの取り合いのようにしか見えないんだよ。人が何かを反省したり、許されたり、許したり、、、ってこういうことじゃないと思うんだが。誰かに許されたいという自分の思いを正当化してはならない。

また、この物語が一見とてもきれいなものに見えるのは、西宮の異常なまでの聖人っぷりにある。何をされても文句を言わない。人を簡単に信じる。自分の感情をほとんど表さない。表さない割にマンションから飛び降りる。そして簡単に自分の耳を引きちぎった男を好きになる。基本的に都合がいい女なんだよ。石田は自分が許される可能性があるから近付いたんだろうとしか思えない。「自分が許されたい女性が自分のことを好きになる」って本当に発想が男性的すぎて怖いんだよ。そもそも作者が女性というところにも愕然とする。

最終的に、主人公は気が付けば周りに友達がいて、青春を取り戻していた!涙!って。。。最終的には自分が気持ちよくなって終わるのもどうなの。

 

この映画を「感動ポルノ!」「いや、感動ポルノとは言わない!もっと崇高なレベルの映画だ!」みたいなよくわからない議論もあるが、この映画って感動ポルノ以前のものじゃない?聖人を取り巻く人間たちの自己愛と欺瞞に満ち満ちた映像でしかないでしょ。まだ『あの花』とかのほうが見れた。また、聖人とは言いつつ、自分のことをいじめていた相手を好きになるってもはや聖母的でもなんでもない。なんで女性作者がこんな男に都合のいい発想に陥ってしまうのだろうか。映画だからありえないことでもオーケーではないんだよ。アニメだから飛躍していいわけではないんだよ。フィクションとの微妙な塩梅をわかっていなすぎる。自分が救われたい死ほど陳腐なものはない。

 

あと最後に、病室で目覚めて勝手に病院を抜け出すシーンは法律で禁止してほしいレベル。マンションから落ちてるんだから、確実に点滴されてるし、チンコにも管を突っ込まれてるよな。あれを夜な夜な自力で引っこ抜いて、リハビリなしで病室から抜け出したってことだろ?そして橋の上でヒロインとバッタリ…。もうやめようやこういうの…。

川崎の「リアル」と「リアル」の先にあるもの〜漢 a.k.a GAMI『ヒップホップ・ドリーム』〜

中学校の頃から、文化祭で同級生がケツメイシを歌っていたり、学校にとあるラッパーがやってきて、運命的な出会いをするということもあった。昔からヒップホップに対して興味があった。高校生になるタイミングで神奈川県川崎市、もっと言うとその中でも「ディープサウス」と勝手に私が呼んでいる地域に家族で移住した。親の転勤が多かった私には心から分かり合える友人もいない、自分の地元もない、民族的なアイデンティティの崩壊もあり、鬱屈した人生を送っていた。その頃、周りにはラッパーの先輩がいたり、中学校のときに出会ったラッパーとの再会もあって、ジャパニーズヒップホップにドハマりしていく。入口はキングギドラブッダブランドだった。ギドラのアルバム『空からの力』とブッダの『人間発電所』にはとてつもない衝撃を受けた。更には、一時期は私もラッパーになりたいと思っていた。高校生の頃から横浜のLAFAYETTEやChop’n Rollに通い、貧乏高校生なりに頑張ってNITRAIDなどの服を着ていた。

そんな中、ダメレコが一世を風靡していた時代、TARO SOULがメジャーレーベルから曲を出すというので、キャンペーンでリリースパーティの抽選が偶然当たった。渋谷CLUB asiaだったかで、昼のイベントだった。高校生だった私も中学生の弟を誘って二人で見に行った。その会場の入り口付近で初めてMC漢を見た。印象はデカい、イカツい、こえー。あのときの漢の表情は覚えていないが、暗闇の中でのシルエットは鮮明に覚えている。弟と一緒にビビッていた。もはや漢の印象が強すぎて、TARO SOULのライブは覚えてすらいない。

時は過ぎ、大学を卒業し、路頭に迷ってニートだか大学院生だかをしていた時だと思うが、PRIMALの『プロレタリアート』が発売された。このアルバムは当時ニート上がりでくすぶっていた自分にはとても刺さるものだった。そのリリースパーティを見に、友人たちと恵比須リキッドルームへ行った。MCバトル『BEDでBET』の番外編的なのも開催されていた記憶がある。あのとき会場には芸人のダイノジが来ていたのも覚えている。そしてPRIMALのライブでは少佐やDOGMAも登場し、会場のボルテージが上がっていく。そしてラスト間近になったところで久々にMSCが集結するという最高の展開が待っていた。初めて見るMSCのライブは衝撃的だった。O2もいた。あの衝撃と、体に深く刻み込まれるかのようなリリックは今でも覚えている。歴史の目撃者となった気分だった。

その後、漢がLIBRAと揉めていることを知り、DOMMUNEで記者会見しているのも見てきた。

そんな(個人的な)歴史があり、前々から気にはなっていたんだが、たまたまYoutubeを漁ってたら、菊地成孔がラジオで漢の『ヒップホップ・ドリーム』をめちゃくちゃオススメしていたのもあり、今更購入して読んだ。正直、あまり期待せず買ったのだが、これがもう大当たり中の当たりだった。

f:id:jzzzn:20190203003000j:image

「リアル」とは何なのか。それを馬鹿みたいに真面目に向き合ってきた拡声器集団、MSC。ストイックでありすぎるあまり、さまざまなトラブルに巻き込まれたりする様がそれこそ「リアル」に語られている。なぜこれほどまでに引き込まれるのか。何度も言うが紛れもないストリートの現状で、「リアル」に体験したことが綴られているからだ。何度も出てくる「ストリートビジネス」なんてものが本当にこの日本社会で成り立っているのだという実感と、その暗部。そのストリートの中でのラッパーたちとの出会い。ヘッズなら誰しもが胸を熱くさせる話が盛りだくさんだ。

その中で印象に残っているのは、「リアル」を追求するあまり、「刺す」と言ってしまったらそれを1週間以内に実行しなければならないというルール*1。この危うさ。つまりは「ノンフィクションを自分たちで生み出す」という行為である。私は詳しいわけではないので、突っ込まれたら反論のしようがないのだが、感覚的に、創作物として存在する「ノンフィクション物」とここで語られる「リアル」は明確に違う。前者が「起きたことを見つめ返す」作業なら、後者は「起こす」ということになる。これには非常に危険が伴うだろうし、スリリングでもあるだろう。自分の言葉に責任を持つということを究極的に突き詰めた結果であるだろう。ただ、これが適当な遊び感覚のものだったのだろうかと考えると、そうではないはずだ。新宿ストリートの中で彼らが歌ってきたものはすべてが「リアル」であった。直訳すれば、「本当のこと」であり、それは同時に「不条理」でもあったはずだ。生半可では生きていられない。リアルこそが現実であり、不条理そのものであるから。そんな彼らだからこそ、リアルとは、フィクションは許さないという断固たる態度なのである。

 

私が見てきた川崎のリアル

『ヒップホップ・ドリーム』を読んでいると、自然と自分がこれまで体験してきたストリートの現状を思い出さずにはいられなかった。先述の通り、私は高校生の頃から川崎に引っ越して思春期の鬱屈した時代を過ごした。あのBAD HOPがレペゼンしている地域の本当に真隣に住んでいた。そして、誰とも共感できない自分の感情をどう表現したらいいかわからず、いろんなことに手を出した。その中でさまざまなストリートの現状を目の当たりにしてきた*2。ただ、以下の事はフィクションだと思ってくれていい。

タバコと小学生

大学生の頃、ある小学生との出会いがあった。彼は小学生でありながらもまさしく不良であった。小学生にしてタバコを吸っていたし、中学の先輩たちとよくつるんでいたのを知っている。暴走族とのつながりもあったんだろう。川﨑ディープサウスはそんな街だ。小学生の彼には同じ小学校に通う弟と妹がいた。父親は離婚していなくなっており、今の時代珍しいボロボロの長屋に住んでいた。母親は夜の仕事。必然的に彼らは夜を兄弟だけで過ごさなければならない。彼らの家は夜でも鍵を閉めない家だった。また、時には借金の取り立てが夜に来たこともあるという話もしていた。そんな彼らの面倒を少し見ていたりもした。ただ、彼らに対して何かできたという実感のようなものはない。あるとき、彼と一緒にいると、どんな会話をしたかは忘れたが、「私、この先どうなるんだろう。まあどうにもならないだろうけど。」と飄々と語っていたのが忘れられない。彼は小学6年生だった。そのとき、彼と一緒に吸ったタバコと背中は忘れられない。その後、彼らは遠い場所へ引っ越してしまった。今はどうしているのかもわからなくなってしまった。

生きるためのビザ

ある家族がいた。その家族は俗に言う不法滞在であった。観光ビザで日本に入国し、ビザが切れても居住を続けていたらしい。ある朝、その家族の母親が血相を変えていた。父親が入国管理局に連れて行かれたとのことだった。話を聞くと、朝早くにアパートのインターホンが鳴り、父親が出たところ、入管の職員が立っていたらしい。彼には幼い娘と息子がいた。奥さんと子供たちは声を押し殺して部屋の奥に潜んでいて見つからなかった。自国では生活に困窮し、藁にもすがる思いでやってきた国ジパング。しかし、そこでも生活に苦しみ、子供も結核とかになっていた。それでも生活の基盤を作りなんとかやっていた。子供の母語は日本語だ。日本でしか生きられない。彼は数日後に何とか戻ってきて、ビザを得ることもできた。後に娘は10代で幼馴染の男とできちゃった婚をしていた。それもまた川崎らしい。川崎ではオーバーステイで強制送還される人がたくさんいた。昨日まで遊んでいた友達が、次の日には突然、文字通り蒸発したかのようにいなくなってしまうということは普通にあった。

残された余白

2015年2月20日川崎市中1生徒殺害事件」が起きた。

ja.wikipedia.org

川崎を「カワサキ国」として全国に知らしめることになった強烈な事件だ。非常に痛ましく、今でも記憶に新しい。ワイドショーやネット掲示板、いろいろなところで事件の真相について議論されていた。犯人の顔や名前もいち早くツイッターで拡散し、世論を含めた言いようのない不気味さもあった。私がこの事件について語れることは何もない。1つだけ知っていることは、この事件の加害者の母親は私の親と知り合いだった。そして彼女は外国人だった。当時、ネットでは加害者の住所が特定されていたのもあり、1度だけ興味本位から家を見に行ったことがある。普通の家だったが、同じように住所を知ってやってきた奴らにやられたと思われる落書きが壁にはされていた。家の明りは灯ってはいなかった。この事件については、まったくもって許される話ではない。しかし、この事件の余白に残されたものは一体何なのだろうか。『全員死刑』の小林勇貴監督がVICEで語っていた話はとても印象深い。

2014年にカナザワ映画祭で『NIGHT SAFARI』を上映してもらったとき、雑談のなかで主催の人が言ったんです。「少年のリンチ事件の報道を見ていると、よく事件後にバーベキューをやってるけど、あれってなんだろう。暴力をチャラにしたかったのかな」と。それがずっと頭に引っかかっていて。https://www.vice.com/jp/article/ywqzqm/yuki-kobayashi-gyakuto

あの事件にあった余白とは一体何なのだろうか。彼らは何をチャラにしたかったのだろうか。それは今でも私の頭の中をチラついては消え、またチラついてはまた消える。

 

これらは、氷山の一角ではあるが、こういった現実を私も生活の中で目の当たりにしてきた。

 

 

「リアル」なものは一般論では語れない

「大学生と小学生が一緒にタバコを吸うなんてあってはならない!」

「不法に滞在しているのはルール違反!」

「外国人の子供が殺人鬼だった!」

一般論で断罪するのはとてつもなく簡単だ。頭も使わなくて済む*3。しかし、「ストリート」、それこそ「道端」に落ちている「リアル」という「現実」には必ず一般論で語ることのできない領域があるのだ。すべてグレーゾーンであるかのように。何が正しくて、何が間違っているかは簡単に決めれるものではない。だからこそ不条理が蔓延する。

 

漢が『ヒップホップ・ドリーム』の最後に綴っていた文章は身に染みる。

人との出会いは過去・現在・未来の自分との出会いだ。イキのいい若いラッパーは過去の自分の姿かもしれない、でかい野望に向かっているヤツは現在の俺と同じ立場なのかもしれない、そしてでかい仕事で成功した人間は俺が未来にこうありたいと願う姿なのかもしれない。

(漢 a.k.a GAMI『ヒップホップ・ドリーム』河出書房新社、2015、p.230)

私は周りに存在する自分以外の人間は、次の自分(輪廻的な)が経験するかもしれない自分の姿なのだという思想を持っている。つまり、私は私であると同時に、あの人もこの人も私であるという考えだ。つまり、誰しもが私がなり得た、これからなる可能性の1つである。私が川崎で見てきたあいつらもまた1つの私の姿である。

「リアル」とは自分であり、可能性でもあるのだ。

 

ヒップホップ・ドリーム

ヒップホップ・ドリーム

 

 

ルポ 川崎(かわさき)【通常版】

ルポ 川崎(かわさき)【通常版】

 

 

*1:『ヒップホップ・ドリーム』p.101

*2:川崎のディープな部分については磯部涼が書いた『ルポ川崎』CYZO、2017がとても参考になる。私が書いているエピソードもこの本の中で出てくる地域が舞台になっている。

*3:頭を使わなくて済むということそのものが日本全体が抱える闇であり、課題であるだろう。みんな簡単で単純なものにしか目がいかなくなってしまっている。

金沢飯について語らせろ<中華料理 梅梅>

『牯嶺街少年殺害事件』は何度でも見返したい作品だ(ただ『恐怖分子』の方が好きかもしれないが…)。

f:id:jzzzn:20190120224559j:image

f:id:jzzzn:20190120224643j:image

この映画では、透明なガラスの茶器に入れたお茶を飲んでいるシーンが良く出てくる。うちの妻はその茶器が欲しいと探し回っているが、なかなか見つからない。そもそも台湾でもあまり取扱いがない説もある。

detail.chiebukuro.yahoo.co.jp

中国文化には無限大の魅力がある。

もっと言うと、中東からシルクロードを渡ってきたスパイス文化、それをさらに独自の文化と環境から深めた中華料理には更なる魅力があると思っている。

つまるところスパイスがめちゃくちゃ好き。

 

金沢にやってきて4年程になるが、金沢でスパイスを扱ったうまいカレー屋や中東料理、中華料理には出会ったことがなかった(まあもっぱら寿司とか海産物を食べまくっていたというのもあるけど…)。そんな中、1年ほど前から、いい雰囲気だなと思っていた中華料理屋があり、つい先日行くことができた。それがまあ大当たりだったから、金沢に来て海産物以外も食べたいという人もいるかもしれないし、誰も興味ないかもしれないし、なんのマージンも発生しないけど、ただ紹介しておきたい。

 

その名も『梅梅(メイメイ)』

kiwa-group.co.jp

どうやら「際コーポレーション」という会社が運営しているらしい。

まず店名の渋さがやばい。町家を改造したスタイル。金沢では町家を買うと最大400万円を市が支援してくれるらしく、これは俺もいつか乗っかりたい。この店にはずっと行ってみたいと思っていたが、機会を逃し続けていた。つい先日、東茶屋街をプラプラしていたら、予定の合間に微妙な時間が空いたため、飛び込みで入った。まず、店の扉を開けるとこれ。

f:id:jzzzn:20190120224718j:image

f:id:jzzzn:20190120224746j:image

自家製の釜に吊るされたダックたち。

丸焼きにされた状態で、鉤で吊るされている様は圧巻である。もはや焼かれたプテラノドン。恐竜はやはり鳥類とハ虫類から進化したのだと思わざるを得ない。

f:id:jzzzn:20190120225224j:image

店が満席の時は、吊るされた北京ダックたちと向き合いながら、席が空くまで待たされる。人によってはなかなかきついのではないだろうか。

まず席に通されると、お茶はセルフサービス。各テーブルに中国のポットがあり、中国茶が入っている。f:id:jzzzn:20190120225345j:imageこれを自分たちで注ぐのだが、構造上めちゃめちゃこぼれる。だが、これがいい。

初めてなので、やはりこれだろということで麻婆豆腐定食を注文。f:id:jzzzn:20190120225659j:imageこれがまた、器も深く、結構たっぷりあって大満足。最近はただ「辛い」ということに重きを置きすぎて、「深み」を忘れた味付けが多いが、これはもう「深み」メインの麻婆豆腐。話はずれるが、ペヤングの『激辛MAX END』はもうただの悪ふざけでうまさも糞もない。本当にただ不快になった。

妻は奮発して点心膳を頼んでいた。f:id:jzzzn:20190120225448j:imageこれは、いろんな種類の餃子にニラ饅頭や小龍包と最後に牛ラーメンがついたもの。これがもう本当に豪華で彩りも鮮やか。また、最後のラーメン。中華料理のラーメンてなんであんなに深みがあるんだ?あれは動物とか野菜以外にもお茶で出汁を取っているように感じるのだが、誰か詳しい人教えてほしい。

これだけ食べて衝撃を受けてしまったので、まさかの次の日も訪問。点心膳の餃子がめちゃくちゃうまかったので、今回は麺類を頼んでいくつか餃子と小龍包を頼むことに。ここの餃子は、ランチ時は5個で250円前後というこれまたなかなかお手頃価格。そして、めちゃくちゃいろいろな種類の餃子があり、それぞれ焼、水、蒸から調理法を選ぶこともできる。今回は白色と茶色の餃子を焼(店員さんオススメ)でチョイス。白は普通の餃子なのだが、茶は羊肉。羊肉大好きだからこれだけは食べておかねばと。f:id:jzzzn:20190120230046j:image
f:id:jzzzn:20190120230050j:image

餃子は皮もモチモチで羊肉は独特な羊の匂いがとても旨味とマッチしている。小籠包もたっぷり汁が入っており何個でも食べたい。

麺類は黒胡麻坦々麺と汁無坦々麺。f:id:jzzzn:20190120230201j:imageすべてにおいて香辛料がそれぞれの特徴を発揮。肝心の味についてだが、もはや細かく語ることが野暮。ただただどれも抜群な味。金沢でここまでの中華に出会えるとは。。。

 

 

今すぐ行くべし。

ちなみに俺は今日も行った(今日からは定食も増えていた)。f:id:jzzzn:20190120230906j:image
f:id:jzzzn:20190120230851j:image
f:id:jzzzn:20190120230902j:image
f:id:jzzzn:20190120230857j:image
f:id:jzzzn:20190120230909j:image

お昼はめちゃめちゃ混むので、予約するのがオススメ。夜は火鍋もしてるらしいので期待は膨らむばかり。

 

みんな今すぐ行け!!!!